希土類イオン(Tb3+やEu2+)を高濃度に含有する、可視領域(400~800nm)で透明な“磁性酸化物ガラス”の合成プロセスおよび磁気光学特性(ファラデー回転効果)について調べている。これにはGaN系青色半導体レーザの急速な進歩や緑色プラスチックファイバイー通信の利用拡大が背景にあり、光資源の有効活用の理念をもとにこれからますます重要となってくるであろう。その目標を達成するために、可視波長域で透明で、大きなファラデー回転を示す光アイソレータが必要である。大きなファラデー回転特性を得るにはガラス中に含まれる希土類イオン濃度を増やすことが有効であるが、希土類イオンを高濃度に含むガラスは結晶化しやすく(失透現象)、簡単なことではない。我々は、これまで40mol%まで希土類酸化物を透明なガラス状態で含有させることに成功しており、これらのガラスについて50K以下の低温で磁気クラスターが形成され、それに伴いファラデー回転特性が急激に変化することを報告している。(Chem.Mater., 2002年)。現在研究している新しいガラス系は、Tb2O3-B2O3-Ga2O3-SiO2, EuO-Al2O3-SiO2などであり、これまでにない透明で磁石にくっつく酸化物ガラスの開発を進めている(J.Ceram.Soc.Japn, 2007年)。 |